2008年7月27日日曜日

工程変更

油性離型剤を進める上で、水溶性離型剤から油性離型剤に変更する場合に
工程変更を求められる事が有る事です。
このブログで、工程変更のやり方などの説明は出来ません!
メーカーによりやり方や考え方が違う為、この場で「これだ!!」とは言えません。
前にも書きましたが、油性離型剤を使う上で、金型温度が上昇する為、
強度を必要とする製品に関しては、注意をする必要が有るでしょう。
既存の製品に対しては、冷却を追加したり、冷却水流量を多くしたりして
金型温度の上昇を防ぐ必要が有るし、サーモグラフィーなどで金型温度が何度まで
上昇するか?を確認して行く必要が有ります。
新製品に関しては、金型設計の段階から温度上昇部分を特定しなければならないので
困難と言えば困難ですが、今は流動解析なる物が有るので、これを使って特定するのと
人の感も取り入れて金型をまず製作する事から始めでしょう。
金型温度が上昇すると思われる部分に、とにかく冷却を入れる。
温度が上がらなければ、冷却水を止めればよいのだから。

2008年7月25日金曜日

量産品を油性離型剤で行うと!

油性離型剤を使って鋳造すると「金型クラックの発生が遅くなります。」
5000ショットで出ていた物が、200000ショット程度まで金型が持ちますから
一つの部品を大量生産する所で、自社製品で有る所では、金型の更新費用が低減されます。
金型面数を水溶性離型剤を使っていたときよりも少なく出来るからです。
金型更新面数を少なく出来るメリットは、
1,鋳造工場でのトライ回数が減る
2,トライをした製品寸法測定が減る(3次元測定など)
3,トライに携わる人の時間が減る

金型修理、製品手直しに付いては。
4,金型メンテのクラック修正回数が減る
5,外に出すクラック修正回数が減る
6,社内の製品仕上げで有る製品のクラック修正も減る

この部分は、あまり金額で計算している所が少なく、
主に、隠されてた目に見えない部分のお金です。
(実際、以前の会社はお金勘定が出来ていませんでした)
やってみると、思わぬメリットが出て来て、儲からない商品が
突然儲かる商品に変身する事も有ります。

2008年7月23日水曜日

上海で!

ダイカストの話でも、上海にいる事をお伝えしましたが、
ダイカスト工場の廃液処理で、一般の水溶性離型剤の出量と油性離型剤の出量とを
説明して、DVDで出量が映っている映像を見せて中国人の方のコメントは、
「すばらしい」「この様な装置を中国で販売したら、すぐに偽物ができて、売れなくなる」
中国と言う国の癖なのか?国民性なのか?偽物に対する事がすぐに出てきます。
私が偽物に関する回答をした訳ですが、「画像だけで見て、その部分の偽物はできるかも
わからないけど、ダイカストをしたときに製品ができるかどうか?多分できないと思う」
「なぜなら!金型の冷却方法、冷却水の問題等の知識が無ければ鋳造できないから」
「やれるもんならやってみな」と強気の回答をしたのですが、
ブログで、「ダイカストの話」「油性離型剤」の事を書いてきましたが、
装置を導入して、「やれますよ」と言う物ではないからです。
それなりのダイカストの知識、金型の知識がないと一歩踏み出せないのは事実です。
又、困っているかどうか?です。
排水処理の問題で困っているか?
金型のクラックの問題で困っているか?
鋳造品質の問題で困っているか?
困らなければ、進まない!排水処理をまだ垂れ流しで良い国で有れば、
垂れ流しの方がコストはかからないし、離型剤の量を少なくする考えも出てこないでしょう。
金型にクラックが出たら、安い給料の人を雇って取れば良い。
不良が出たら、その分多く鋳造すれば良い。
まだまだですね!!

2008年7月16日水曜日

溶解温度を下げて鋳造すると!

溶解温度を下げて鋳造すると、巣穴が減少しました。
温度を上げて鋳造した時よりも、下げて鋳造した物の方が
巣穴が減少する事が確認出来ました。なんで???
溶解温度を上げた方が、湯流れが良いはずなのですが、
まだ、その現象に付いては説明出来ません。
半溶解鋳造と言う方法が有りますが、それに近い状態に
なるのかな?
溶解温度を下げる事で、多少の製品焼き付きは緩和される様です。
製品肉厚部により、変わってくるとは思いますが。
サイクルタイムが速く出来る!
ビスケット、分流子ランナー部が、早く固まる為その早く金型を
開く事が出来ます。
溶解温度を下げて、鋳造を行うとき、良く品質を確認してから
行ってください。
スリーブ充填率が20%を切る様な製品ですと、良い結果が出ないかも?

2008年7月14日月曜日

溶解温度

油性離型剤を使って鋳造した場合、溶解温度を低く設定出来る。
この事は、金型冷却が完全で無い時、金型温度を下げたい思いが有り
やって見ました。 (鋳造する製品にもよりますが)
最高はADC-12で590℃の温度で出来ましたが、ラドルの中で固まってしまい
連続鋳造が出来ませんでした。
610℃~620℃が連続鋳造出来る限界点かな?
しかし、ラドルはセラミック製の物を使用しないと、610℃~620℃でも
固まる可能性が有ります。現状がセラミックスリーブを使用して連続生産してますが。
溶解温度を下げると、ガス代が安くなる???
そんな話しが以前から「うわさ話し」の様に有りましたが、実際は?
反射炉を使って溶解しているダイカストメーカーがほとんどだと思いますが、
反射炉は、溶解室と保持室に分かれており、610℃に溶解温度を下げても
溶解するバナーの熱量がそんなに下がらない。
保持室にしても多少の熱量は下がると思うが、期待するほどの省エネが
出来なかった。
何が良いか!と言うと、ダイカスト工場の作業環境が、すこし良くなるかな?
反射炉の保持室のレンガの保ちが良くなるかな?ですね!
溶解温度を下げて鋳造すると鋳造品はどうなるか?
次回!!

2008年7月10日木曜日

負圧で引く冷却方法

固定スリーブ、分流子を負圧で引く話しをしましたが、
負圧で引く方法では、普通では冷却が通せない所に冷却が
通せる!
たとえば!固定型から可動型に冷却水を通す。
押し出しピン、入駒ピンにぶつけて冷却水を通す事も
出来ます。
負圧式の冷却装置を導入すると、金型冷却方案が一変します。
私も、相当極端で誰が見ても「水が漏れる」と言う回路を作りましたが
漏れずに鋳造出来た経験が有ります。
油性離型剤を使う上で、内部冷却を考えて行くには、アイティムとして
おすすめの装置です。油性、水溶性離型剤の双方ともに
今後は、負圧で引く冷却方法が増えて行くと思います。

昔から有った冷却方法ですが。

2008年7月9日水曜日

金型の冷却方法2

別のブログ「ダイカストの話し」の話題をダブリますが。
分流子、固定スリーブの冷却方法で、品質保証立場からも、
「冷却水は、負圧で引いた方が良い」と言う事です。
鋳造中に固定スリーブが割れたり、分流子にヒビが入って
冷却水漏れで困ることが有ります。
固定スリーブ、分流子は金型の部位でも常に、高圧、高熱に
さらされる部分で、いつ割れて冷却水漏れが出るかも解らない状態です。
又、固定スリーブに関しては、大半が焼き嵌めで作られており、この焼き
嵌めが弱い場合、常に水漏れに悩ませられる部分です。
水漏れを確認するにも、金型が冷えてる段階で水漏れチェックをしても、
金型が暖まって来ると水漏れが出てきたりします。
そんな、不安定だ部分には、負圧で引く冷却装置で金型を冷やした方が
得策です。

2008年7月7日月曜日

金型冷却方法

別ブログの「ダイカストの話し」のなかで冷却水の話しは
色々書いていますが、http://diecastingstorydms.blogspot.com/
冷却方法の中で、
1.水を普通に押冷却
2.水を強力に押冷却
3.水を引く冷却
4.押、引くが有る中で、ダイカストマシンより信号を受け
  その信号から数秒間冷却水を押したり、引いたりするやり方。
  (ウォータートランスファーと言うらしい)
上記4つのやり方を、1つの金型に組み入れ冷却を行うと非常に良い
結果が得られます。
油性離型剤にて、「スライドが多い金型がやりやすい」と前頁に書きましたが
スライドのピン冷却に、強く押やり方の冷却装置を使い、ウォータートランススァー
機能を使って冷却を行うとよいです。
要するに、金型の温度コントロールを行うわけですが、金型冷却の中には
「冷えすぎる」部分が、1箇所か2箇所は有ると思います。
冷却水を止めると焼き付き、カジリが出るし、水を通してもカジリがでるし!
その様な部分は、冷却水を絞り流量を調整して鋳造を行ったりしていると思いますが。
このやり方ですと、「再現性」が無く「総合の金型冷却水流量変化についていけない」
安定しない!!と言う事です。
冷却水を強く押、引く冷却装置のウォータートランスファー機能を使うと楽に
コントロールできるし、再現性と安定した鋳造が出来ます。

2008年7月4日金曜日

意外な事実2

薄物を鋳造したときの話をしましたが、
油性離型剤を使って、鋳造をすると金型温度は上がって来ます。
湯回りは良くなり、内部巣、ヒケ割れも相当改善されます。
しかし、連続鋳造するとなると、金型冷却を強化していかなくてはなりません。
張り切って冷却がバンバン効く金型を作ってしまいました。
どれだけ鋳造しても、どれだけサイクルを早くしても、
金型温度が100℃以上上がらず、結局冷却水を絞る事で
対応しました。
冷却がバンバン効く金型。温度が上がらない金型。
一見、「失敗作」と思われるかも知れませんが、
これを作る時は、スリルとサスペンスの連続でした。
「ここまで冷却を攻めたら金型が割れる」だとか、
「こんな金型構造にしたら10ショットもたない」だとかで
まさに鋳造するまでワクワク、ドキドキでした。
その金型はめでたく鋳造ショット寿命を終え引退しましたが、
その「冷えすぎる金型」を作ったおかげで、色々勉強になった事は
確かです。

2008年7月3日木曜日

以外な事

油性離型剤を使って「以外」な事が有りました。
よーく考えると以外でも何でもないのですが。
肉厚が1㎜を切る様な製品が有りまして、
「これは、金型温度があがらないぞー」と思い。
冷却回路をランナー部のみで金型製作を行いましたが、
油性離型剤で鋳造を行い、サーモグラフィーで金型温度を
測定したら、400℃を超える部分が出てきて、平均350℃程度
まで金型温度が上がってしまいました。
ダイカスト品で、何かのカバーの部品でしたが、金型への製品接地面積が
大きい為、いかに薄物でも金型に熱が蓄積してしまう様でした。
ちなみにサイクルタイムは17秒で鋳造していましたが。
その後、連続鋳造が出来ない為、ライン冷却は追加出来ず、スポット冷却を
いたる所に追加して、鋳造出来るようにしましたが!!大変でした。

油性離型剤を始めて間もない頃の事でしたので、どうしても水溶性離型剤の
鋳造方法が頭から外れない時でしたので、貴重な体験と思っています。
水溶性でしたら、離型剤量を増やすだけで解決出来たと思いますが。

2008年7月2日水曜日

油性離型剤を使った場合の工場環境

油性離型剤を使って、良い点を前回記載しましたが、
機械周辺、工場の環境はどうなるのでしょう?
極少量で離型剤を塗布する為、機械の汚れ、床の汚れ、
スプレー装置の汚れに付いては、抜群に良くなります。
5Sで有るとか6Sに力を入れている会社であれば、
清掃時間の短縮に非常にメリットが出てきますし、
汚れが減る事により、機械故障の早期発見が出来て来ます。
しかし、ダイカストと言うのは、離型剤だけが汚れの原因では有りません。
プランジャーオイルによる、固定ダイプレートの裏の汚れ、
トグル潤滑による汚れ、フラックスの灰の飛散等の汚れが有ります。
油性離型剤を使う事で、ダイカストマシンのベタベタは軽減されるので、
フラックスなどの灰に付いては、簡単な清掃手段が出てくると思います。
機械の汚れのやっかい物が、プランジャーオイルとトグル潤滑油になって
来ると思いますが?
環境に付いて、もう一つ良くなるのが、離型剤の廃液が0(ゼロ)になる事です。
水溶性の離型剤と使うと問題となるのが、「廃液」です。
廃液の処理に莫大なお金を投じている会社も有り、
ナイショで、ドブ、川などに垂れ流しをしている会社も有ると聞いています。
(そんなことやって良いのかな?)
水溶性の離型剤をリターンさせて使っている会社も有りますが、
離型剤の性能が落ち、思わぬ不良品に泣く事も有ります。
「廃液」が無くなる事は、色々な意味でメリットが出てきます。

2008年7月1日火曜日

油性離型剤で少量吹きが出来たら!

油性離型剤で少量吹きが出来たら!
前回に話しを出しました、金型の内部冷却の話しになります。
金型に通す冷却水に付いては、別のブログで書いているので、
下記アドレスを参照してください。
http://diecastingstorydms.blogspot.com/
金型冷却水の質が悪いと、冷却回路の内壁に相当量の堆積物が
付着してきます。
サイクルタイムを早くしたりすると、金型冷却の温度が高い部分の冷却回路は
沸騰します。沸騰すると堆積物が付着しやすく、冷却管の詰まりが出てきます。
詰まりを取るのが、大変な作業で有ることは、やった人でしか解らない所でしょう。
やはり、金型冷却水の質に付いては、もっと目を向ける事が必要と考えます。